「うちは、ちゃんと算定できている」と思っていた院長が、自院の処置一覧をAIで読み直したら起きたこと
経営
想定キーワード:歯科 算定 取りこぼし/療養処置一覧 集計/歯科医院 保険診療 内訳 メタディスクリプション案:現役院長が、自院の療養処置一覧をAIスキルで読み直したら、医科歯科連携・成人フッ素・口腔機能の算定漏れが見つかりました。半年で粗利率1%改善までの経緯と、保険診療の構成を2重ドーナツで見る方法をご紹介します。

「うちは、ちゃんと算定できている」。そう思っていました。
開業して数年。スタッフには全体ミーティングで算定のルールを伝えていましたし、レセプトの返戻も多くはない。処置頻度表も毎月レセコンから出していました。数字は、出していたのです。
ただ、「出していた」のと「読んでいた」のは、別のことでした。
1. きっかけは、クライアントではなく自分の医院だった
コンサルティングでクライアント医院の処置頻度表を読む機会が増え、AIスキルで集計表とグラフを作る流れが固まってきたころ、ふと思いました。これを自分の医院でやったら、どうなるのだろう。
正直に言えば、少し気が進みませんでした。人の医院の課題を指摘している立場で、自院に同じ穴が見つかったら格好がつかない。それでも、人に勧めるものを自分で試していないのは筋が通らないと思い、自院の処置一覧CSVをAIに渡しました。
出てきた集計表を眺めて、最初に目に留まったのは、医科歯科連携の管理料がほとんど算定されていないことでした。糖尿病や抗凝固薬の患者さんは少なくないはずなのに、数字がない。やっていないのではなく、「やっているのに算定していない」のでした。
2. 「やっている」と「算定している」の間にあった溝
ひとつ見つかると、続けて見えてきます。
次は医管でした。歯科疾患在宅療養管理料などの算定要件である処置前の血圧測定が、記録に残っていない日がありました。測ってはいる。けれど、記録として残す仕組みが弱かった。
さらに、成人のフッ素塗布。子どもの口腔機能発達不全症。高齢の方の口腔機能低下症。どれも、全体ミーティングで「やるようにしましょう」とスタッフに伝えていた項目です。ところが数字を見ると、算定回数は対象患者さんの数と釣り合っていませんでした。
理由を追いかけてみると、個々のSPTの現場では、衛生士が前回と同じ施術内容を続けていたのです。新しい算定項目について、その場で院長に確認する流れがなかった。全体ミーティングで伝えたことが、チェアサイドの判断にまでは降りていなかった。これはスタッフの問題ではなく、確認する仕組みを作っていなかった私の問題でした。
3. 半年でやったこと
やったことは、派手ではありません。
まず、見つかった項目ごとに「誰が、どのタイミングで、何を確認するか」を決めました。医科歯科連携なら、初診時の問診で既往歴と服薬をチェックした時点で、受付が対象患者さんにフラグを立てる。血圧測定なら、測定値をカルテのどこに記録するかを統一する。口腔機能の管理料なら、年齢と症状で対象になりうる患者さんを衛生士がリストアップし、院長が月1回まとめて確認する。
訪問診療も同じ時期に見直しました。訪問は算定項目が多く、書式が担当者ごとにばらつくと、取りこぼしも転記ミスも増えます。書式を揃え、訪問後にその場で記入が終わる形にしました。
そして毎月、処置頻度表をAIスキルで読み直し、前月との差を確認する。これを半年続けました。
結果として、保険点数は月あたり1〜3万点ほど上がり、粗利率は1%改善しました。新しい設備も、新しいスタッフも、新しい患者さんも要りませんでした。すでにやっていた診療を、きちんと算定しただけです。
4. 保険点数の「合計」ではなく「中身」を見る
ここまでは私の医院の話ですが、同じことはどの医院でも起きています。
「先月の保険点数は〇〇万点でした」。ここまでは、ほとんどの院長先生が把握されています。では、そのうち歯周治療が何割で、補綴が何割で、予防が何割かと聞かれたら、いかがでしょうか。
保険診療の合計点数は、いわば体重のようなものです。増えた減ったは分かっても、筋肉が増えたのか脂肪が増えたのかは、体組成を測らなければ分かりません。医院の「体組成」にあたるのが、保険診療の構成です。私が自院の穴に気づけたのも、合計ではなく構成を見たからでした。
5. 療養処置一覧を46項目に整理するAIスキル
私が使っているのが「ryouyousyoti」というAIスキルです。レセコンから出力した療養処置一覧のCSVを、決まった順番の集計表に並べ替え、グラフ用のデータまで整えます。
集計表は、初診料・再診料から始まり、デンタル撮影、パノラマ、CT、歯周検査、スケーリング、SRP、実地指導、フッ化物関連、SPT、P重防、長期管理、シーラント、小児口腔機能管理、歯周外科、抜歯などの外科、エンド、CR、CADインレー、歯冠修復の素材別内訳、クラウン維持管理、義歯、リハビリ、在宅(訪問)と続く46項目です。項目ごとに、点数・月回数・年回数・全体に占める割合が並びます。
レセコンの処置名は細かく分かれているうえ、表記の揺れもあります。これを人の手で毎回整理するのは骨の折れる作業ですが、AIが項目名を照合して所定の行に振り分けてくれます。私の医院で「毎月読み直す」が続いたのは、この手間がなかったからです。
6. 2重ドーナツグラフで、医院の姿をつかむ
集計表の隣には、グラフ用のカテゴリ集計が作られます。カテゴリは「P処関連」「う蝕予防関連」「治療(手技・処置)」「補綴」「訪問」の5つです。
これを2重のドーナツグラフにします。内側の輪が5カテゴリの割合、外側の輪がその内訳となる個別の処置です。内側で「うちはP処関連が半分を占めている」と大づかみにし、外側で「その中でもSPTとスケーリングが大きい」と詳細を確認する。1つのグラフで、全体像と中身の両方が見える仕組みです。
同じ保険点数の医院でも、構成はまったく異なります。補綴の割合が大きい医院は、治療中心で新患への依存度が高い傾向があります。P処関連や予防の割合が大きい医院は、メインテナンスの患者さんに支えられていて、月ごとの売上が安定しやすい。訪問の割合が一定ある医院は、外来とは別の柱を持っていることになります。
どれが正解ということではありません。大切なのは、先生が目指している医院像と、現実の構成が合っているかどうかです。「予防型の医院を目指している」とおっしゃる先生のグラフが補綴中心だったとしたら、そこに取り組むべき課題があります。私の場合は、「継続管理を大事にしている」と言いながら、管理料の数字がそれに追いついていませんでした。
まとめ
保険診療の構成は、医院の現在地を映す地図のようなものです。年に一度でも作っておくと、数年後に振り返ったとき、医院がどう変わってきたかがはっきり分かります。
そして、算定の取りこぼしは、知識の不足ではなく仕組みの問題であることがほとんどです。「やっている」を「算定している」に変えるのは、新しい技術ではなく、誰がいつ確認するかを決めることでした。
院長のための歯科マネジメントラボでは、この集計表をもとに、先生の目指す医院像と現状のギャップを一緒に確認しています。私が自院でやったことを、そのまま順番にお伝えします。
この記事でご紹介したスキルは、院長先生ご自身で内製化できるプロンプトとしてご用意しています。欲しい方はご連絡ください。
まずは30分の無料経営診断で、院長先生の医院の数字を一緒に見てみませんか。
※算定にあたっては、最新の診療報酬点数表と施設基準をご確認ください。本記事の数値は筆者の医院の実績であり、効果を保証するものではありません。